建築や芸術全般が好きな人にとって、バルセロナの街のあちこちに点在するガウディ作品はまたとない見どころです。そのキャリアのあらゆる時期と様式を網羅した、類いまれな建築とプロジェクトのコレクションといえるでしょう。バルセロナで見学できるアントニ・ガウディの作品をご紹介します。

目次
- バルセロナのガウディ作品
- サグラダ・ファミリアのバシリカ
- カサ・バトリョ
- カサ・ミラ(ラ・ペドレラ)
- グエル公園
- ガウディの家博物館
- カサ・ビセンス
- グエル邸
- グエル別邸のパビリオン
- ベリェスグアルド邸
- カサ・カルベット
- テレサ学院
- ミラーリェス邸の門
- 小規模な作品
- バルセロナ近郊
- コロニア・グエル教会地下聖堂
- カサ・ビセンスの滝
- グエル酒蔵
- 所在地マップ
バルセロナにあるガウディの全作品
ここでは、バルセロナにあるアントニ・ガウディの作品をすべて紹介します。もっとも象徴的で有名な作品から、小規模な依頼や初期のプロジェクトであるためにあまり注目されない作品まで網羅しています。さらに、カタルーニャの州都からほど近い場所にある作品もいくつか加えました。
あわせて、バルセロナにあるガウディの代表作を見学するためのポイントと所在地マップも掲載しています。
サグラダ・ファミリアのバシリカ
サグラダ・ファミリアは、間違いなくガウディの名を後世に知らしめたプロジェクトです。この天才建築家の教えや構想の多くが結晶した壮大な教会です。ここで詳しく説明することは控えますが、このVisitarSagradaFamilia.comでは、建築、チケット、開館時間、アクセスについて詳しく紹介しています。改めて言えるのは、これが素晴らしく壮大な作品であり、バルセロナ旅行では絶対に外せないということです。
ご存じのとおり、サグラダ・ファミリアは今も建設中で、主に入場料によって資金がまかなわれていますが、完成の日は日に日に近づいています。
カサ・バトリョ
1904年から1906年にかけて建てられたこの象徴的な邸宅は、カタルーニャの州都の中心部にあるグラシア通りに、この著名なカタルーニャ人建築家の創造性と革新的なビジョンを鮮やかに示しています。
カサ・バトリョを唯一無二の存在にしているのは、シュールレアリスムを思わせる見事なファサードです。自然や有機的な形から着想を得たそのデザインは、まるでガウディの想像力と溶け合っているかのようです。建物の特徴は波打つような構造と骨の形をしたバルコニーで、動きや流れを感じさせます。ファサードを覆う陶器モザイクの鮮やかな色彩と細やかな質感が、この建築の傑作に幻想的な魅力を添えています。

驚きは内部でも続きます。カサ・バトリョに足を踏み入れると、細部まで丁寧にデザインされた世界が広がっています。見事ならせん階段のある玄関ホールは、形と機能を融合させるガウディの手腕を見せつける空間です。ステンドグラスから自然光が差し込み、特別な包み込むような雰囲気をつくり出しています。手すりや扉の錬鉄の装飾は、モデルニスモ様式にふさわしい芸術的なアクセントになっています。
カサ・バトリョではアントニ・ガウディの生涯と作品を紹介する展示も行われており、このカタルーニャの天才をより深く知ることができます。模型やスケッチから歴史的な写真まで、ガウディの創造的な発想と建築への革新的なアプローチを味わえる展示です。カサ・バトリョの見学は誰もが心を動かされる体験で、カタルーニャの州都を訪れるガウディファンにとって欠かせない立ち寄り先です。
カサ・ミラ(ラ・ペドレラ)
ラ・ペドレラの名でも知られるカサ・ミラは、アントニ・ガウディがバルセロナの中心部に生み出したもうひとつの建築の傑作です。1906年から1912年にかけて建てられたこの建物は、ガウディの先進的なビジョンと独創性を物語っています。
ラ・ペドレラのもっとも際立った特徴のひとつは、波打つ彫刻のようなファサードです。ここでもまた自然を思わせる曲線的で有機的な形が、石や鉄などさまざまな素材と組み合わされ、シュールで魅惑的な外観を生み出しています。ねじれた独特のデザインの錬鉄製バルコニーは、建物に芸術性と機能性を添えています。
ラ・ペドレラの内部も同じく見事です。建物の中央には中庭があり、天窓から差し込む自然光が白い陶器で覆われた曲面の壁に反射します。部屋やアパートメントには、ガウディならではの細部へのこだわりと想像力が表れています。

ラ・ペドレラでもっとも有名なのが屋上で、バルセロナの街並みと風格あるグラシア通りを一望できます。奇妙で幻想的な人物像のような、モザイクで覆われた彫刻的な煙突が立ち並び、アシャンプラ地区の碁盤の目状の街並みに幻想的な彩りを加えています。間違いなくバルセロナにあるガウディ建築の至宝のひとつで、ラ・ペドレラの見学は、数日間バルセロナに滞在するすべての旅行者に欠かせない体験です。
バルセロナ・デジタル・パスの「ガウディの3つの家」もおすすめです。カサ・バトリョ、ラ・ペドレラ、カサ・ビセンスを1枚のチケットで見学できます。
グエル公園
1900年、ガウディはバルセロナの山麓に高級住宅地を設計する依頼を受けました。依頼主は、カタルーニャの裕福な実業家エウセビ・グエルその人です。グエルはそれ以前にも、コロニア・グエル、シッチェス近郊の酒蔵、そしてグエル邸として知られる新しい邸宅でガウディと仕事をしていました。
この事業は計画どおりには進まず、当初予定されていた60戸の住宅のうち、建てられたのはわずか2戸でした。しかし、この事業の失敗があったからこそ、グエル公園は1984年にユネスコの世界遺産に登録されることになったのかもしれません。

グエル公園の大きな特徴のひとつは、モザイクで覆われたベンチ、傾いた柱、陶器で装飾された天井といった構造物や建築上の工夫です。これらの要素には、バルセロナのモデルニスモを象徴する、自然に着想を得た曲線的で有機的な形というガウディ独自のスタイルが表れています。
公園には緑豊かな庭園、曲がりくねった小道、パノラマテラスもあり、地中海を水平線に望む素晴らしい街の眺めを楽しめます。庭園は、地中海性気候に特有の樹木や花、植物を取り入れて調和よく設計されています。
グエル公園では、色鮮やかなモザイクの美しいドラゴンに飾られた有名なドラゴンの階段を歩き、望むなら記念撮影もできます。この象徴的なドラゴンは公園でもっともよく知られたシンボルのひとつとなっています。もちろん、列柱の間や、守衛小屋のパビリオンがある正面入口も見逃せません。
グエル公園+サグラダ・ファミリアのチケット(公式販売代理店)
ガウディの家博物館
ガウディは1906年にグエル公園に住まいを構え、20年間そこで暮らしました。そして1925年、最後の大プロジェクトに身も心も捧げるためサグラダ・ファミリアに移り住みました。この家は友人で協力者のフランセスク・バランゲー・イ・メストラスが設計したもので、グエル公園に将来建てられる住宅の宣伝と見本として建てられました。今でいうモデルハウスです。
1963年から、ガウディの家博物館は一般に公開されています。アントニ・ガウディに関心を持つすべての人に向けて、その人物像を広め、国際的な情報拠点となることを目的としています。館内では建築家の質素な暮らしぶりを感じながら、彼の生涯にまつわる品々や家具、資料を見ることができます。
この影響力のあるモデルニスモの建築家が大きなプロジェクトを構想し、スケッチした場所は、現在サグラダ・ファミリア贖罪教会建設委員会財団が管理しています。
カサ・ビセンス
アントニ・ガウディが設計したカサ・ビセンスは、バルセロナのグラシア地区(地図で場所を見る)にある建築の至宝です。1883年から1885年にかけて建てられ、カタルーニャ・モデルニスモの初期の傑作のひとつとされています。初めての大きな依頼で、ガウディはこの建物に注ぎ込んだ才能によって周囲の誰もを驚かせました。それはのちの成功の前触れでもありました。
この家は夏の別荘として設計され、ムデハル様式や東洋の建築の影響が見られます。特に目を引くのが、自然や幾何学のモチーフを描いた陶器タイルで彩られたカラフルなファサードです。かつては緑豊かな庭園があり、建物全体に美しさと安らぎを添えていました。年月とともに敷地は現在の広さまで縮小され、そのために風変わりな噴水が取り壊されました。この噴水はのちに、近隣の町コルネリャ・ダ・リュブラガートにある水の博物館(Museu de les Aigües)で再建されています。

カサ・ビセンスのもっとも重要な特徴のひとつは、陶器、錬鉄、石などさまざまな素材の革新的な使い方で、それらが色彩のコントラストとともに調和よく組み合わされています。内部もまた見事で、手の込んだ細部や独特の装飾要素に、建築家になったばかりのガウディの限りない創造性が表れています。その好例が、青、緑、金で彩色された石膏の鍾乳石飾り(ムカルナス)の天井を持つ喫煙室です。
カサ・ビセンスは2005年にユネスコの世界遺産に登録されました。
グエル邸
グエル邸は、バルセロナのラバル地区、ノウ・デ・ラ・ランブラ通り3-5番地にある壮麗な邸宅です。1886年から1890年にかけて建てられ、グエル別邸のパビリオンに続いて、実業家エウセビ・グエルがガウディに依頼した最初の大規模な仕事でした。
グエル邸のもっとも際立った特徴のひとつは、ガウディの東洋趣味の時代に位置づけられる、革新的で独特な建築です。ここで紹介しているカサ・ビセンスも同じ傾向に属します。正面のファサードは落ち着いたエレガントなデザインですが、内部には、当時最高の職人たちが手がけた装飾にあふれる驚きの空間が広がっています。
建物には、ガウディ作品のトレードマークとなった奇抜な形の有名な煙突が並ぶ象徴的な屋上など、独特な建築要素がいくつもあります。

グエル邸の内部も同じように刺激に満ちています。特に見どころなのが、応接室、大広間、そして馬小屋のある地下室です。どの空間も美しさと機能性の両面から丁寧に設計されています。
興味深いのは、グエル邸には当時としては画期的な採光の仕組みがあることです。ガウディは戦略的に配置した天窓や明かり取りを使って自然光を最大限に取り入れ、内部に独特の光の効果を生み出しました。
エウセビ・グエルは妻や娘たちとともに1906年までこの邸宅で暮らしました。その後、グエル公園内のカサ・ララードに移り住み、ガウディとはご近所同士になりました。1984年、ユネスコはこの建物を世界遺産に登録しました。
グエル別邸のパビリオン
エウセビ・グエルの後援によるバルセロナのガウディ作品として、もうひとつ注目したいのが、グエル・パビリオンという簡略化された名前で知られる建物です。ペドラルベス地区にあり、バルセロナ王宮に隣接しています。
これは、実業家グエルのかつての別邸の外壁と付属の建物のプロジェクトです。依頼(1887年)は控えめなものでしたが、ガウディはここでも守衛小屋のパビリオンの建築、そしてとりわけ別邸の錬鉄製の門のひとつで人々を驚かせました。
この有名な門は、ガラスの目を持つ翼のあるドラゴンをかたどった見事な鉄格子で、ヘスペリデスの園の守り手ラドンを表しています。ガウディの空想を形にした鍛冶職人はジョアン・オニョスで、その仕事は今なお称賛を集めています。
ベリェスグアルド邸
ベリェスグアルド邸は、アントニ・ガウディが1900年から1909年にかけて設計した作品です。ガウディのよく知られた作品の多くとは異なり、この塔は直線的な形をしており、人間王マルティ1世の中世の城に着想を得た美しさを備えています。この建築的な独自性によってゴシックとモデルニスモの中間に位置づけられ、ガウディ作品のなかでも唯一無二の存在となり、特別な見学の対象となっています。
ベリェスグアルドの歴史は、カタルーニャの歴史に深く根ざしています。その起源は中世にさかのぼり、人間王マルティ1世がこの地に現在の名前をつけ、常の住まいを建てることを決めました。さらにこの歴史ある場所は、カタルーニャでもっとも有名な山賊のひとりセラロンガが、街での活動のあとに身を隠した場所でもあり、カタルーニャの歴史において重要な役割を果たしました。また、ベリェスグアルドは1714年の歴史的な出来事にも関わっています。
「ベリェスグアルド」という名前は、素晴らしいパノラマが望める戦略的な立地(バルセロナのガウディ作品マップで場所を確認)に由来し、カタルーニャ語で「美しい眺め」または「よき隠れ家」を意味します。敷地内の庭園には、ガウディにインスピレーションを与えた中世の建物の一部が今も残っています。
注目すべきは、ベリェスグアルド邸もコロニア・グエル教会地下聖堂も、ガウディが革新的な建築上の解決策を試した作品であり、それらがのちに彼のもっとも有名な作品であるサグラダ・ファミリアに応用されたという点です。こうしたあまり知られていない作品からも、ガウディの創造的な才能と、歴史的な背景や各プロジェクトの必要に応じてさまざまな建築様式に適応する力をうかがい知ることができます。
カサ・カルベット
バルセロナの中心部、セルダが計画したアシャンプラ地区にあるこの家は、明確な都市計画上・法規上の制約がある中で、両隣を建物に挟まれた敷地に建物を設計するガウディの手腕を示す好例です。
この傑作は、1898年から1900年にかけてカルベット家の住居として建てられました。一見すると、カサ・カルベットはカタルーニャのネオゴシック様式へのオマージュで、際立った左右対称のファサードと、ガウディのよく知られたスタイルならではの装飾が施されています。近づいてみると、正面の張り出し窓(トリビューン)には、所有者の個人的な趣味にちなんだ無数の細部が見られます。正面玄関には、ジョアン・オニョスが鍛造した鉄製のドアノッカーもあります。
カサ・カルベットの内部も、それ自体がひとつの芸術作品です。装飾の細部、ステンドグラス、空間の配置は、住まいとしての快適さと前衛的な美しさを兼ね備えた空間をつくろうとしたガウディのビジョンを物語っています。現在、建物の一部にはレストランが入っており、ガウディの作品に包まれながらおいしい料理を味わうことができます。
ちょっとした豆知識です。バルセロナ市はカサ・カルベットを1900年の最優秀建築物に選びました。これはガウディが生前に受けた唯一の賞です。
テレサ学院
テレサ学院は、バルセロナにあるモデルニスモの天才の作品をじっくりめぐりたい人にとって欠かせない立ち寄り先です。街の北部、サン・ジェルバジ地区にあるこの建物は、ひと目で装飾の簡素さとレンガの使用が目を引きます。
ガウディがこのプロジェクトを引き継いだとき、建物の基礎はすでにできあがっていました。それでも彼は独特の革新的なスタイルで、正方形の平面という元の構造を生かしつつ、アビラの聖テレサの著作『霊魂の城(内なる城)』にちなんで、城のような雰囲気を与えることにしました。予算は限られていましたが、ガウディは石の代わりにレンガを使い、内壁を石膏で仕上げ、簡素でありながら印象的な装飾を組み合わせて、堂々とした建物をつくり上げました。
ガウディの作品の常として、テレサ学院にも彼の才能と深い象徴性が表れています。建物には放物線アーチ、らせん状の柱、錬鉄の格子、四方に腕を伸ばした十字架など、この建築家のトレードマークといえる要素が見られます。ガウディが1889年に完成させたこのモデルニスモ建築は、1969年から国の文化財に指定されています。
ミラーリェス邸の門
サリア地区、グエル・パビリオンのすぐ近く(所在地マップ参照)には、訪れる価値のあるガウディ作品がもうひとつあります。ミラーリェス邸の門と外壁です。
エルマナジルド・ミラーリェスは、グエルからこの地所を購入して間もない1901年に、ガウディにこの仕事を依頼しました。現在も外壁の一部と、目を引く多弁形アーチを備えた堂々とした門が残っています。自然に着想を得た形やトレンカディスの使用など、いかにもガウディらしい様式的な特徴もしっかり見られます。

かつてのミラーリェス邸の入口の脇には現在、彫刻家ジョアキム・カンプスが制作した等身大のガウディ像が立っています。つまりミラーリェス邸の門では、天才建築家と顔を合わせることができるのです。
サグラダ・ファミリアのおすすめチケット

ガイド付きツアーは、ガウディの傑作をもっとも深く知ることができる方法です。行列に並ばず、プロのガイドが案内します。日程によっては日本語ガイドの回もあります。
バルセロナにあるその他のガウディ作品
バルセロナで見学できるガウディの全作品のリストを完成させるために、あと3つの作品を紹介しておきましょう。小規模な作品ですが、十分に興味深いものです。なにしろ天才の仕事なのですから!
レイアール広場とパラウ広場の街灯
この街灯のデザインは、1878年にバルセロナ市から依頼されたもので、当時のアントニ・ガウディはまだ正式な建築家ではありませんでした。
彼は2つのモデルを設計しました。腕が6本か3本か、そして頂部の飾りが異なります。どちらも鋳鉄製の柱が大理石の台座の上に立っています。
6本の腕と商業の寓意を備えたガウディの街灯のうち2基は、ランブラス通りのすぐそばにある中心部のレイアール広場で今も現役で使われています(現在は電気式)。
3本の腕を持つもう一方のモデルは、パラウ広場に2基が残っています(バルセロナの地図で確認)。屋外の公共設備として風雨や劣化にさらされながらも長持ちしている、優れたデザインと耐久性は注目に値します。
シウタデリャ公園のモニュメンタル・カスケード(大滝)
バルセロナ市内で見学できるガウディ作品の締めくくりは、心地よいシウタデリャ公園です。ここの見どころのひとつが池と、その上にそびえる「モニュメンタル・カスケード」と呼ばれる彫刻群です。
この滝のプロジェクトはジュゼップ・フンセレーによるもので、ガウディは水理設備の設計を担当したことが知られています。岩や鉄のマストなど、滝を構成する装飾要素の一部のデザインに若き日のガウディの手が見られるとする資料もあります。
バルセロナ近郊にあるアントニ・ガウディの作品
ガウディ作品の大部分はカタルーニャの州都にありますが、近郊でも非常に興味深い作品を見学できます。半日の小旅行で、コロニア・グエル教会地下聖堂、カサ・ビセンスのオリジナルの滝、シッチェスのグエル酒蔵を十分にめぐることができます。
コロニア・グエル教会地下聖堂
バルセロナ県のサンタ・コロマ・ダ・サルベリョにあるコロニア・グエル教会地下聖堂は、ガウディのパトロンであるエウセビ・グエルが1890年に構想した野心的な産業プロジェクトの一部として建てられました。

革新的なスタイルを貫くガウディは、この繊維工場の労働者村(コロニア)のための教会の設計という難題に挑み、元の正方形の平面構造を生かしました。しかしそのビジョンは、城を思わせ、労働者住宅の型破りな建築や周囲の自然環境と調和する建物を生み出しました。当初、資金は無制限でしたが、ガウディはレンガや石といった質素な素材を、独自性と象徴性で際立つ傑作へと変えてみせました。また、ガウディ作品に見られる建築上の革新がほぼすべて盛り込まれていることでも際立っています。
グエル教会地下聖堂は、地下にあるわけではないため、厳密には地下聖堂(クリプタ)ではありません。窓が通りに面して開いていることが、独特の外観を生んでいます。星形の多角形の平面を持つ下部の教会には、4本の玄武岩の柱に支えられた中央のヴォールトがあります。内部では、ジュゼップ・M・ジュジョールがデザインした見事なステンドグラスを通して、光が魔法のように差し込みます。素朴でモノクロームな雰囲気は天然の洞窟のようで、暗がりを多彩な光のきらめきが破ります。この地下聖堂は自然と宗教の要素が融合した完璧な例であり、その構造は、ガウディが比類ない技量で考案した独自の逆さ吊り模型(フニクラ模型)にもとづいています。
コロニア・グエル教会地下聖堂は、ガウディの当初の計画どおりには完成しませんでしたが、その遺産は独創的で表現力豊かな建築の金字塔として今も受け継がれています。1990年には文化財(歴史的建造物群)に指定され、2005年にはユネスコの世界遺産リストに加えられました。
ガウディの地下聖堂の見学(スペイン語ガイド)とあわせてコロニア・グエルをめぐれば、アントニ・ガウディが生きた時代の歴史的背景を知ることができます。
カサ・ビセンスの噴水
カサ・ビセンスの噴水(滝)は、もともと同名の邸宅の広い庭園にありました。夏の別荘に涼をもたらすこの滝は、ガウディの創造性によって形になった遊び心あふれる作品でした。やがて一家はカサ・ビセンスの敷地の一部を少しずつ売却し、噴水は取り壊されてしまいました。
幸い、数年後に建築家が残した図面やメモをもとに再建することができました。正確なレプリカは、興味深いコルネリャ・ダ・リュブラガートの水の博物館(Museu de les Aigües)で見学でき、中を歩きながら水滴や細い水流の音に耳を傾けることができます。
グエル酒蔵
バルセロナから数分、ガラフの海辺に建つグエル酒蔵は、アントニ・ガウディとその弟子フランセスク・バランゲー・イ・メストラスによる魅力的なモデルニスモ建築群です。
これもまた、ガウディを最もお気に入りの建築家とした実業家でありパトロンのエウセビ・グエルからの依頼でした。当初は狩猟用の別荘として構想されましたが、グエルがガラフ地域にブドウ園を所有していたことから、酒蔵の建設へと計画が変わりました。
1895年から1901年にかけて建てられたこの傑作は、石、レンガ、錬鉄を組み合わせ、おとぎ話に出てくる中世の城のような建物をつくり上げています。モデルニスモ建築の特徴は、放物線を描く線、非対称のデザイン、不規則な形に表れ、独特の美しさを生み出しています。いずれも、いわゆるガウディのネオゴシック期に属するものです。
設計者については議論もありましたが、シッチェス歴史文書館に展示されているオリジナルの図面にはガウディの署名があり、この芸術作品に彼が大きく貢献したことが裏づけられています。
バルセロナにあるガウディの全プロジェクトの地図
バルセロナには、この有名なカタルーニャ人建築家の作品がもっとも多く集まっています。地図でバルセロナにあるガウディの全プロジェクトの場所を確認してみてください。